JASRACの包括契約について

 とある福祉関係の喫茶店に絡む話から、色々とJASRACに関する話題がネットを賑わせている。この取り立てに関しては、文化庁なりが間に入って冷静な判断による妥当な措置をとって欲しいものです。

 で、オレがここで取り上げようと思うのは、ちょっとベクトルが違うのだけど、「包括契約」ってのが結構怪しくて、これは真っ当なJASRACの職員も気にしていることだろうから、是非とも問題点を是正してもらいたいという話。

 包括契約の何が怪しいかというと、どの曲を使用したかに関わらず、使用料が自動的に徴収されるという点なのだ。つまり、例えば、楽曲を自作自演している「山田A太郎」というアーティストを応援するつもりで、店内のBGMでいつも山田A太郎の曲だけを演奏したとする。しかし、徴収された使用料は一銭も山田A太郎の懐に渡らない可能性が大きい。なぜなら、包括徴収された使用料は、JASRACが定めた基準で分配されるため、山田A太郎の楽曲がどこのBGMでどれほどの頻度で使用されたかという事実は反映されないから…。

 似たような状況は、ラジオで放送される楽曲にも当てはまる。多くの場合、公共放送での音楽の楽曲使用料は包括形式で徴収されており、実際の使用料分配においても、日々放送された楽曲リストを参照して厳密に割り出しているという訳じゃない(テレビ番組のBGM扱いの楽曲使用料も包括徴収の対象)。じゃ、どうしているかと言うと、放送楽曲の割合をはじき出すための日程(通常、任意の1週間)を決め、その期間で放送された曲のリストだけから使用料を算出している。だから、めったに放送されない曲でも、その特定の期間だけバンバン放送してもらえば、たくさん楽曲使用料がもらえるシステムなのだ。

 こういう、特定の日程を決めて使用料を算出している理由は、JASRACに毎日の楽曲リストから使用料を算出するだけの人的資源等がないからなんだそうだけど、今時、普通のパソコンでも商用データベースが走るぐらいの時代なのだから、ちゃんとシステムを組んで処理すれば、それほど大変な作業じゃないはずだし、それぐらいの投資ができないような貧乏組織じゃないはず(笑)。

 取り立てに熱心でも、公正な使用料分配を怠っていれば、あらぬ嫌疑をかけられるのは当然であり、「社団法人」としては好ましくない状況だよね。