明日無き暴走〜文化庁編(ボーナストラック付き)

 著作権法の動きをずっと追っている人なら既に知っている話題だけど、文化庁は10月8日から「著作権法改正要望事項に対する意見」というのを募集していて、その締め切りが目前(21日)に迫っている

 この意見募集は、今までのいわゆる「パブリックコメント」とは性格がちょっと異なっていて、簡単に賛成/反対を述べれば良いというものではない。ぶっちゃけた話、法律を詳しく知らないオレみたいな小市民が意見を書くのには敷居がかなり高かったりする。ここまで難解かつ面倒な方法で意見を求めるということは、ある意味、文化庁としては暗に意見を送って欲しくないと宣言してるようなものだ。実際のところ、さすがに今回は某レコード会社でも社員全員を駆り出してとにかく意見を提出させるみたいなことはやっていないらしい。

 そちら系の業界にいる知人と雑談をする機会があって、今回の件は一体裏に何があるのだろうと話をふってみたのだけど、やはり意味不明な動きだとの回答だった。あえて詮索してみると、文化庁が自分達の持つ権力を誇示するためだけにやっているニュアンスが強いから、他からどんなに反対の声が上がっても阻止は難しいし、とにかく行き着くところまで行ってしまうかもしれないという結論になった。

 なんだかスゴイ話だけど、これまでの状況を顧みると、そういう考え方もまんざら極論ではないような気がする。一旦、明日無き暴走を始めてしまった以上は、壊れるまで止まらないということなのか? とばっちりを受けるこちら側としては、いい迷惑なんだけどね…。

 ところで、JASRACの新会長が芳しい発言をしたようだけど、こちらは単純にもっと金を稼ぐ手段を増やしたいというだけの話だから判りやすい(笑)。あそこは毎年正規職員を採用して順調に成長しているけど、彼らの給料はおそらく日本の音楽業界と言われる中でもっとも平均給与が高額(潰れそうな今時の銀行職員より良さそうだ)であり、当然どんどん稼ぐ必要がある。自分のところが儲かれば良くて、他がどうなるかはあまり考えていないんだよね。しかも、文化庁の後ろ盾がある(文化庁役人の重要な天下り先でもある)から、「文化的な理由」(笑)をもとに強硬な主張も可能ときたもんだ。だから「データ用CD-Rや汎用HDDにも私的録音補償金制度」なんていうふざけた考えがまかり通ることになる。彼らの究極の目標はおそらく「PPP(ペイ・パー・プレイ=音楽を聴く度に著作権料を徴収)」であり、「ソフトの個人所有廃止」だったりするのだろう。

 オレはこれまであまりCC(クリエイティブ・コモンズ)を真剣に考えていなかったけど、これからはCCにしか希望を見いだせない時代が来そうだ。願わくば、文化庁JASRACが日本国内でCCが機能するのを潰してしまう前に、CCライセンスによるとんでもないヒット作品がバンバン生まれるような事件が起きて欲しい。