6月1日の衆議院文部科学委員会

 facethemusicさんのblog上にまとめられた各種情報を参考にしながらビデオを見る。

 見終わって、自分なりに色々考察してみたけど、ここにきてようやく頭の悪いオレにも判ってきたことがある。依田巽氏を筆頭にした日本レコード協会RIAJ)や文化庁は、「必ずや日本の音楽産業はアジアでビジネス的に大成功する」という(根拠なき)信念があるということ。これは、依田氏の答弁が最終的にすべてこの考え方につながっていたので明らかだ。

 そして、アジアでのビジネスを軌道に乗せるためには、アジアにおける邦楽作品の流通コントロールを完全にしなければならないと考え、その方策として「輸入権」という答えを出したということ。

 この時点で彼らは、輸入権が洋楽ビジネスにどう影響するかなんてことは一切考慮してなかったのじゃないか? というのも、日本のレコード会社にとって洋楽というのは、多品種少ロットで面倒な割には売り上げが少ないという、あまり美味しい商売じゃないから。このあたりは、レコード会社の人間が一番自覚しているはずで、今時の洋楽制作担当なんて社内の風当たりがかなりきびしいと思う。

 だから、邦楽中心で思考している輸入権推進派にしてみれば、簡単に成立できるはずだった法案が、こんな風に社会問題にまで発展してしまったのは計算外ということなのだろう。逆に言えば、洋楽ビジネスの部分も考えていれば、こうまでボロボロな展開にはなっていなかったのかもしれない。

 そうしてみると、実はRIAJも「面倒で売れない」洋楽ビジネスは輸入盤で適当に処理したいと考えているように思えてきたし、逆に、5大メジャーが本当に輸入権を発動したりするとかなり困るんじゃないですかね、依田会長?(笑)

 ここで話は最初に戻るけれど、日本の音楽産業がアジアでビジネス的に大成功するという考え方はあまりに根拠が希薄であるし、これを理由に著作権法を歪めてしまう行為は許されざるべきものだ。

 最後にオマケで質疑に登場した各議員についての感想を:

 自民党伊藤信太郎議員の言動を見ていると、レコード輸入権に対して若干の疑問を感じていながらも、個人的な興味という観点からの質疑だけに終始したという感じ。良くも悪くも、自民党というのは懐が深くて、こういう人もいるんだなぁと変なところで感心した(笑)。

 民主党川内博史議員は、今日も多くの問題点を明らかにしており、素晴らしいです。この調子でガンガン行って欲しい。

 社民党横光克彦議員、この人はレコード輸入権に対する疑問を表明しつつも、何だかちょっと迫力に欠けたし、気になったのは、終わり方が礼を失した感じだったこと。

 公明党富田茂之議員に関しては何も語るべきものなし。結局、公明党にとっては、学会員以外は「知らない人」であり、そういう人達から意見が届けられても相手にしないということを明確に表明してくれただけ。このような政党が、与党勢力の一端を担っているという現実は非常に問題だと思う。

 共産党石井郁子議員は、「何でこんな人が政治家やってるの?」という感じだな…。

 さて、明日の審議はどうなることやら。